杜仲とは

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氷河期を生き伸びた強い生命力

杜仲の雄花
杜仲の雄花

杜仲は、20年程度で高さが20mにも達する落葉高木。

トチュウ目トチュウ科を構成する唯一の種で、現在は中国原産の1種類しか存在していません。

杜仲が最も繁殖していたのは、恐竜時代末期の6千万年前頃から6百万年前のこと。その当時には多くの地域で、いろいろな種類の杜仲が存在していたようで、世界の各地で杜仲の化石が見つかっています。

杜仲の種子
杜仲の種子

恐竜さえも絶滅した氷河期に、
杜仲の木も大きな打撃を受け、生き伸びたのは1種類だけ。

今、私たちが目にしている杜仲は、そのような果てしない過去から現在に至るまで、力強く生命をつないできたたくましい植物なのです。
このような経緯から、杜仲は「現代の生きた化石植物」とも呼ばれています。

樹皮は漢方薬・医薬品にも含まれる

杜仲の樹皮
杜仲の樹皮

杜仲の原産国である中国では、数千年も前から杜仲の
「樹皮」を医食同源の食品として利用していました。

杜仲の樹皮に含まれるリグナン成分は、抗ストレス、更年期障害、血圧降下、滋養強壮に有用であることが現代の医学でも証明されており、日本でも樹皮は医薬品に指定されています。

また、杜仲の樹皮は、五大漢薬*の1つとして古くから降圧、利尿、強壮、鎮痛のために使われてきました。16世紀末に記された中国の薬学書『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも、その効力や用法が記載されている由緒正しい漢薬です。

研究報告者

日本杜仲研究会 名誉会長
北海道医療大学 名誉教授
日本生薬学会 永年会員

薬学博士

西部 三省

糸を引く杜仲ゴムが特徴

杜仲の生葉
杜仲の生葉

杜仲の生葉を裂いたり樹皮をはがすと、裂け目から白銀色の乳液が
糸を引くように現れます。

これは杜仲ゴムというゴム質の成分で、固まると樹脂状になる天然ゴムとして利用されます。寒冷地でも育つ天然ゴムの産出木としても知られており、日本にやってきた理由は杜仲のゴム採取だったという記録が残っています。

杜仲の木
杜仲の木

また杜仲の木には害虫がつかないのが特徴です

これは杜仲ゴムの効果で、葉をちぎっても杜仲ゴムが白い糸を引き、ちぎれた葉片が離れないように、害虫が葉を食べ始めるとネバネバが絡まるためです。虫がつかないため、害虫駆除のための農薬いらずで自然のまま育ちます。

杜仲はゴム状の樹脂を作る植物として知られ、プラスチックのような堅さがあり、酸アルカリに強く、絶縁性が高いという性質がありますが、今後は自動車のタイヤ、医療用のギプスなど、工業原料として大いに活用されることが期待されています。

葉はお茶に、樹皮は医薬品に、さらに木全体に含まれる杜仲ゴムは工業素材にもなり、また樹木そのものは地球の緑化につながります。このようにして、杜仲は人にも環境にも優しく役立っているのです。

研究報告者

日本杜仲研究会 会長(2016年)より
大阪大学 名誉教授
NPO法人 テラプロジェクト 代表

工学博士

小林 昭雄

普段の食生活では取れない健康成分が入った「杜仲茶」

杜仲茶

さっぱりとした飲み口で、身体にもいいとして知られる杜仲茶は、
深緑の葉を摘み取り乾燥後、焙煎したものです。

杜仲茶が健康茶と言われるのは、杜仲の原料である杜仲の葉に普段の食生活では摂ることのできないゲニポシド酸やアスペルロシドなどの健康成分を豊富に含んでいるからです。しかもノンカフェインなので、時間を問わずに、また子どもからお年寄りも飲める、優しいお茶なのです。

実は、杜仲葉を原料にした杜仲茶は、日本で生み出されたものです。中国では杜仲の樹皮を煎じたものが、貴重な飲み物とされていました。しかし、樹皮は一度採取したあとは、再生までに長い年月がかかります。そこで、毎年収穫できる「葉」が研究され、効能が明らかになってきたことで、近年初めて有効利用されるようになったのです。

研究報告者

日本杜仲研究会 理事
崇城大学 薬学部 教授

博士(薬学)

池田 剛